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文献詳細

雑誌文献

生体の科学6巻1号

1954年08月発行

巻頭

研究の公共性

著者: 本川弘一1

所属機関: 1東北大学医学部生理学教室

ページ範囲:P.1 - P.1

文献概要

 吾々は一般妥当性をめざして科学の研究を行つている筈なのに,科学者の中には案外に独りよがりが多い。殊に日本人はそうした傾向が強いのではないかと思う。それは年々歳々の学会に出かけても屡々見受けられる風景である。多くの人達は意識せずして独善をふり廻しているのであろうから罪は少ないとの理窟は成り立つかも知れないが独善を恥じないという風習が罷り通るということに対しては反省すべきものがあると思われる。
 卑近な例を取れば.学会の演者は司会者や聴衆のことなど少しも考えないで,ひたすら自分の研究を発表しようとする。そのため定刻を週ぎても口演を止めない。多くの人達に興味もなく,またさして大切でもなさそうなことを唯自分が骨折つたということを示さんがためにくどくどと述べ立てる。従つて何を云つているのかさつぱり分らないような口演が多い。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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