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綜説
細胞からのヒスタミン遊離
著者: 山崎英正1
所属機関: 1岡山大学医学部藥理学教室
ページ範囲:P.2 - P.12
文献購入ページに移動 1927年にヒスタミン遊離の基本的問題に関する2つの重要な論交が出版された。1つはLewis及びその共同研究者たち1)のもので,人間の皮膚が広汎な種類の物理化学的刺戟に対して示す反応を詳細に記述し,これがヒスタミンと類似の化学的物質H-Substanceの遊離にもとずくものと推論される多くの証拠を呈示したもので,別の1つはヒスタミンが多数の組織に正規の成分として存在することを実証したBest,Dale,Dadley & Thorpe2)の研究報告であつた。Dale3)はこの結果にもとずきLewisのH-Substanceをヒスタミンであると認定した。
それ以来,極めて多様の病的状態についてその症状の発生機序に含まれる直接的作用因子がヒスタミンであるという推論が屡々行われ,種々の場合にそれが事実であることが確められた。アナフイラキシー・シヨツク乃至アレルギー性反応においてヒスタミン遊離がおこり,その症状の発生に関与することについては今日異論はないであろう。熱傷をはじめ種々の物理化学的方法による組織傷害のほか,ある種の動物性毒素や化学的物質が外見的な傷害をおこすことなしに細胞から著明なヒスタミン遊誰を行う事実も知られている。そして,そのような物質の種類が次第に数多く見付けられつゝあることも新しく注意をひいている。炎症の機序におけるヒスタミンの役割も最近再び活溌に論議されている。
それ以来,極めて多様の病的状態についてその症状の発生機序に含まれる直接的作用因子がヒスタミンであるという推論が屡々行われ,種々の場合にそれが事実であることが確められた。アナフイラキシー・シヨツク乃至アレルギー性反応においてヒスタミン遊離がおこり,その症状の発生に関与することについては今日異論はないであろう。熱傷をはじめ種々の物理化学的方法による組織傷害のほか,ある種の動物性毒素や化学的物質が外見的な傷害をおこすことなしに細胞から著明なヒスタミン遊誰を行う事実も知られている。そして,そのような物質の種類が次第に数多く見付けられつゝあることも新しく注意をひいている。炎症の機序におけるヒスタミンの役割も最近再び活溌に論議されている。
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