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文献詳細

雑誌文献

生体の科学6巻1号

1954年08月発行

文献概要

論述

筋の変形電流—伸展による筋の電動的効果

著者: 杉靖三郞1 深山幹夫1 藤田紀盛1

所属機関: 1東京大学医学部生理学教室

ページ範囲:P.28 - P.36

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 いとぐち
 筋をのばしたり,圧迫したりするとき,電動力があらわれ,また筋を曲げると,曲げた側と伸びた側とのあいだに,電位差があらわれる。これは,一般に細胞が変形するときにおこる電位の変化(発電)と関係があり,変形電流とよばれて,Edu Bois-Reymond(1849)以来,多くの実験がなされている。この変形電流については,J. de Meyer2)(1921)の実験がもつともよく知られており,変形のおこつた部位での電位は高まり,その大いさは大体1.5mV程度のものであるという。近時,Rothschuh3)(1949)は,従来の実験を綜説し,これを追試している。それによると,筋の伸展部と非伸展部との間には電位差があらわれ,de Meyerの結果と同様に,伸展部は非伸展部に対して,電気的陽性(+)になり,その大いさは,伸展の負荷が十分大きくなると,10〜15mVに達することも稀ではない。そして負荷が小さいときには,この陽性化は,負荷を取りのけると直ちに元にかえり,完全に可逆的である。また,心筋においては,筋条線(muscle strip)をもちいると,骨格筋と同様に伸展部は非伸展部に対して電気的陽性(+)になるが,心臓全体をもちいた場合には,逆に伸展部は非伸展部に対して電気的陰性(-)になるという。
 ところが,他の実験では,筋の変形電流は,伸展部は非伸展部に対して,電気的に陰性化するというのもある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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