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文献詳細

雑誌文献

生体の科学6巻2号

1954年10月発行

文献概要

論述

網樣体と誘発電位

著者: 安原基弘1

所属機関: 1京都大学医学部藥理学教室

ページ範囲:P.59 - P.70

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 脳幹被蓋の広範な部分は解剖学的に網様体という名称で古くから知られているが,その機能については全く知られないままに長年を経過した。ところが1946年Magounたち1)によつてこの部分は運動機能と関係のあることが見出された。その後多くの人たちの研究によつて網様体の機能が明らかにされ,その結果この組織は色々な働きがあることがわかつて来たのであるが,今尚この研究が充分であるとは思えない。ともあれこの網様体の研究は微小電極による研究と共に最近の生理学の研究の中にあつても一際光を放つものである。
 解剖学的にいう網様体とは神経線維が互に交わつて網を作つているその網の眼の中に神経細胞がはまつているような組織をいうのであるが,私はここでは網様体の機能について述べてみようと思う。網様体は運動,感覚,精神現象などの中枢神経系の機能に重要な役割を演じているが,この組織に及ぼす藥物の作用に言及し,藥物の作用態度から推察して解剖学で網様体と呼ばれているところ以外にもこれと同様の性質を有するものが存在しうるということを主張しようと思う。尚,網様体から影響を受ける現象のうち,大脳皮質に現われる誘発電位についてはあまり一般に知られていないので,この誘発電位についても平行して述べて行こうと思う。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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