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文献詳細

雑誌文献

生体の科学6巻2号

1954年10月発行

文献概要

論述

視紅を中心としだ網膜の生化学について

著者: 古城力1

所属機関: 1水戸赤十字病院眼科

ページ範囲:P.80 - P.87

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 まえがき
 眼の網膜視細胞には桿休,錐体の2種類があり,前者には視紅(Rhodopsin, visual purple)或は視紫(Porphyropsin, visual violet),後者には錐体物質という感光色素が存在している。視紅或は視紫は低照度の時に活動し,錐体物質は高照度時に働いてその上色覚にも関与している。視紫は淡水魚の網膜に存在し,陸上動物及び海水魚の大部分は視紅をもつている。海水魚の中には視紅と視紫の両方を保有しているものもある。視紅,視紫は光に敏感で,光又は熱により容易に分解し,暗順応により再び単時間で視紅或は視紫に合成される可逆反応を行つている。この内で視紅に関しては昔から極めて沢山の研究がなされているが,その構造は未だ決定されずに研究者によつて色々違つた推論がなされている。現在誰でも一致した意見は一種のchromoproteinであろうと言う点である。又ビタミンA欠乏症には特発性夜盲症が起ることは昔から知られた事実であつて,視紅の発色団であるchromophore groupはビタミンA或はその誘導体が関係していることも確実である。最近数年間のWaldの研究殊にretinene reductaseの確認により視紅の分解合成過程が明らかになつてから多くの学者によつて急速の進歩が見られた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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