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筋,神経等の被刺激性形体における形質膜の分極に関する問題は,興奮及び其の伝導に本質的な関係を有するものとして従来多くの人々に依つて論ぜられている。即ちNernstに始まる通電に際する形質膜の両面のIon集積即ち分極電圧が或る一定度以上に達すれば興奮が起ると推定されるもので,又坂本4)に依る筋又は神経線維の閾下の通電の開放に際して形質膜に分極が認められるとの報告,又松本2)の刺戟度に関する模型実験に於て銀板をRinger液に浸した際の分極に関しての研究等を挙げることが出来る。私も形質膜の分極が興奮の伝導と本質的な関係を有するだろうとの意図のもとにLillieの核伝導体模型類似の模型7)を用い刺戟電極即ち分極源電流を送る電極を中心に分極電圧の生成及び消失の勾配,及び分極電圧の配布の状態如何等についての実験を行つたので之を報告する。
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