文献詳細
文献概要
巻頭
年頭雜感
著者: 熊谷洋1
所属機関: 1東京大学藥理学
ページ範囲:P.145 - P.145
文献購入ページに移動 生体の科学も茲に生誕6年の春を迎えた。生物学の研究殊にその機能面からの追求に携る人々の真摯な研究発表と相互の理解などを希求して,畏友杉君と二人で本誌の発刊を計かくした6年前を思うと,月並の言葉ではあるが,かんがい無りようである。まじめな但し採算のとれない雑誌ということが出発の始めからのモツトーであり,又覚悟の上のことであつた。われらは,よきものは必ず売れるという信条を,その当時から今に至る迄もちつずけている。勿論その間には発刊所当事者のギセィ乃至奉仕が大きな支柱ではあつたが,本誌の性格を了解された多数寄稿者の熱意とひ護によることが第一の条件であつた。そのため今では,日本の生物学研究陣の一つの最高水準を指向している雑誌であると,ひそかに自負している。又編集陣にもすぐれた数人の若い学徒を加えたので今後の発展に一層の期待がもてるものと筆者は考えている。
終戦直後の暗中も索,次で海外からのおくれをとりもどすための力走,更には馬車馬式の職人的修錬と,こゝ過去10年はまことに息切れする10年であつたが,本誌の発展経過にも見られる様に,昨年頃から次第に我が国の研究陣もゆとりをとりもどしたかに見える,それがあらぬか職人的修業への疑惑,生物学者としての反省などの問題が提起される気運が感知される。筆者も亦筆者なりに夢もある,朦想もある。答えにならぬ答に終るであろうが以下に筆者の朦想をさらけ出さう。
終戦直後の暗中も索,次で海外からのおくれをとりもどすための力走,更には馬車馬式の職人的修錬と,こゝ過去10年はまことに息切れする10年であつたが,本誌の発展経過にも見られる様に,昨年頃から次第に我が国の研究陣もゆとりをとりもどしたかに見える,それがあらぬか職人的修業への疑惑,生物学者としての反省などの問題が提起される気運が感知される。筆者も亦筆者なりに夢もある,朦想もある。答えにならぬ答に終るであろうが以下に筆者の朦想をさらけ出さう。
掲載誌情報