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文献詳細

雑誌文献

生体の科学6巻4号

1955年02月発行

文献概要

論述

アルコール代謝

著者: 飯田正一1

所属機関: 1北海道大学医学部藥理学教室

ページ範囲:P.160 - P.165

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 Ⅰ.飮用されたアルコールの運命
 飲用されたアルコールの約20%は胃から,残りは腸管から迅速に吸收される1)。その吸收速度は色々な因子により左右されるが,その1つはアルコール濃度で今1つは胃の状態である。満腹時には吸收が遅く,空腹時には速くなるのは当然であるが,食物の中でも蛋白及び脂肪が殊に吸收を遅らせる2)。吸收されたアルコールは体組織の内に大体一様に拡散される。これを拡散平衡に達したと云い飮用後60〜90分を要する3)5)6)
 次でその90〜99%は体内殊に肝臓に於て酸化されアセトアルデヒド,酷酸を経てCO2と水とになる7)8)。その経過中にアルコールは1gについて7.1calのエネルギーを遊離する,そしてこれと同熱量だけの他の栄養素殊に含水炭素の燃焼を節約するのである9)。以上の反応速度は比較的遅く,且組織内にあるアルコール濃度とは無関係に殆んど一定した代謝率で行われる。では1時間にどれ位のアルコールが酸化されるかと云うと,大体男は7g,女は5.3gとされている33)。故に30%180ccのボケツト型ウイスキー1本を完全に酸化するには実に8時間を要するわけである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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