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論述
Digitalis glycosideと核酸代謝
著者: 中塚正行1
所属機関: 1広島大学医学部藥理学教室
ページ範囲:P.166 - P.176
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1875年Withering1)により浮腫減退藥として紹介されたDigitalisが強心剤として,治療界に占める地位は甚だ重要であり,従つてこれに関する内外の研究報告は今尚枚挙に遑のない現状である。作用本態に就ては,神経系2)3,4),力学的機能5)6)7)8),心筋新陳代謝9)並びに酵素系10)等を中心に多数の報告があるが,未だ一致した見解には達していない。
他面細胞の主要成分の一つである核酸は細胞化学的並びに遺伝学的に生命現象を維持するのに必要な物質である。化学的性状,物理学的性状及び生物化学的意義に関する研究の発展はめざましく,就中核酸の生合成及び酵素分解を巡る一連の代謝系は,Adenosinetriphosphate(ATP)等の高エネルギー燐酸化合物の代謝と共軛的関係があり,核酸は細胞核に由来する遺伝等許りでなく,生体の諸機能並びに生命の根源に直接又は間接の何れにもせよ,因果関係の存在する事は,近時先人により指摘されている。核酸と一連の関係を持つ,ATPは筋肉の收縮及び弛緩にあたり,Actomyosineと共に重要な役割を果している事は既にSzent-Györgyi11)等により確かめられた。
1875年Withering1)により浮腫減退藥として紹介されたDigitalisが強心剤として,治療界に占める地位は甚だ重要であり,従つてこれに関する内外の研究報告は今尚枚挙に遑のない現状である。作用本態に就ては,神経系2)3,4),力学的機能5)6)7)8),心筋新陳代謝9)並びに酵素系10)等を中心に多数の報告があるが,未だ一致した見解には達していない。
他面細胞の主要成分の一つである核酸は細胞化学的並びに遺伝学的に生命現象を維持するのに必要な物質である。化学的性状,物理学的性状及び生物化学的意義に関する研究の発展はめざましく,就中核酸の生合成及び酵素分解を巡る一連の代謝系は,Adenosinetriphosphate(ATP)等の高エネルギー燐酸化合物の代謝と共軛的関係があり,核酸は細胞核に由来する遺伝等許りでなく,生体の諸機能並びに生命の根源に直接又は間接の何れにもせよ,因果関係の存在する事は,近時先人により指摘されている。核酸と一連の関係を持つ,ATPは筋肉の收縮及び弛緩にあたり,Actomyosineと共に重要な役割を果している事は既にSzent-Györgyi11)等により確かめられた。
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