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モルヒネの試験管内分解
著者: 細谷英吉1
所属機関: 1慶応大学医学部藥理学教室
ページ範囲:P.177 - P.181
文献購入ページに移動 近年におけるモルヒネの藥理学的研究の中で劃期的なものは1940年Gross, Thompson and Vincent1)等及びOberst2)が夫々別個に発表した遊離モルヒネ(free morphine)と結合モルヒネ(bound morphine)についての報告であろう。それ迄は結合モルヒネに就ての概念が無かつたため遊離モルヒネの回收量のみに依り凡ゆることが論じられたのであつたが,それ以後は遊離及結合モルヒネの両者について単独或は比較的に探求するようになり,こゝにモルヒネ類の研究は新生面を拓いたのである。其後アイソトープの利用,又最近にはモルヒネ合成の成功(1952)もあり,抽出,定量法の進歩と相俟つて新知見が続出している状態である。
不幸にして吾国では,この結合モルヒネの概念が文献として渡来する前後から鎖国状態となつたため,又終戦後は麻藥取扱が過度に嚴重になつたため,それ以前には優秀な業蹟が多数あつたにもかゝわらず,この方面ではあまり進歩が見られなくなつてしまつた。
不幸にして吾国では,この結合モルヒネの概念が文献として渡来する前後から鎖国状態となつたため,又終戦後は麻藥取扱が過度に嚴重になつたため,それ以前には優秀な業蹟が多数あつたにもかゝわらず,この方面ではあまり進歩が見られなくなつてしまつた。
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