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文献詳細

雑誌文献

生体の科学6巻5号

1955年04月発行

文献概要

研究室から

脳のSlice

著者: 高垣玄吉郞1

所属機関: 1慶大生理

ページ範囲:P.238 - P.239

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 組織HomogenateよりSliceの方がより生理的条件に近いものであり,実際に組織内に起つている反応を決定しようとするのに役立つ。このことは一般に信ぜられている所であるし,そのこと自身正しいことであろう。しかし,一歩立ち入つて如何なる点で生理的条件に近いのか,組織内の反応を決定するのに役立つと考える根拠はどこにあるのか,を検討して見るとそう簡単には済まない問題を含んでいる様である。
 Sliceでは細胞め大部分は破壊されていないと言われる。果してそうだろうか。他の臓器組織については知らないが,我々が用いている脳Sliceについて,その組織像を検討して下さつた当学解剖学教室の飯沼助教授はこんな脳組織は見たことがないと言われた。組織は死んで了つていることは勿論だし,生理的条件には及びもつかないとも言われた。ただ感心して居られたのは,かみそりの刃でfree-handで切つた切口が非常に鋭利であることと,我々が経験的に厚み0.35mmと言つているのが可成り正確に一定していることであつた。しかしこの死んで了つているSliceもWarburgの容器中でブドー糖を与えて振盪していると,1時間以上に亘つて一定の呼吸を行つている。Homogenateと異つて別に補酵素を補ってやらなくても,ブドー糖はGlycolysis→Krebs Cycleと完全酸化をうけているのである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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