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特集 遺伝子-脳回路-行動
大脳皮質における振動生成と結合特異性
著者: 川口泰雄1
所属機関: 1自然科学研究機構生理学研究所大脳神経回路論研究部門
ページ範囲:P.31 - P.38
文献購入ページに移動 大脳皮質は多様な領域からできており,その多層構造に多種類のニューロンタイプが組み込まれている。このような膨大な数のニューロンからなる大規模回路が秩序だって動くのには,計算機で使われるクロックのようなものが皮質内にあると思われる。幅数百ミクロンのニューロン集団から,単一機能領野や大脳皮質全体,そしてそれらが投射する皮質下構造まで考えると,規則的な単一リズムでこれらの回路網が時間制御されていないことは容易に想像できる。
皮質表面から電位を記録すると,睡眠・覚醒レベルで異なるが,いくつかの周波数のパワーが強く,これらの帯域が大脳クロックとして使われている可能性がある。この中でも睡眠時にみられる約1ヘルツの徐波(slow wave)はパワーが大きく明確なことから,古くから深睡眠状態の指標になっていた。しかし,徐波の電気生理的実体,生成機構,機能的役割について理解が進んだのは比較的最近のことである。ここでは徐波やそれに組み込まれているより速いリズムと,GABA作働性介在ニューロンの関与について解説する。
皮質表面から電位を記録すると,睡眠・覚醒レベルで異なるが,いくつかの周波数のパワーが強く,これらの帯域が大脳クロックとして使われている可能性がある。この中でも睡眠時にみられる約1ヘルツの徐波(slow wave)はパワーが大きく明確なことから,古くから深睡眠状態の指標になっていた。しかし,徐波の電気生理的実体,生成機構,機能的役割について理解が進んだのは比較的最近のことである。ここでは徐波やそれに組み込まれているより速いリズムと,GABA作働性介在ニューロンの関与について解説する。
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