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特集 感染症の現代的課題
一見収まったかに見えるHIVでの問題点
著者: 岩本愛吉1
所属機関: 1東京大学医科学研究所先端医療研究センター感染症分野
ページ範囲:P.90 - P.97
文献購入ページに移動 原稿依頼を頂いた当初,引き受けるべきかどうか思案した。タイトル「一見収まったかに見えるHIVでの問題点」に引っかかったのである。しかし,この表題が世間一般の印象を代弁しているのだろうと思い直し,タイトルはそのままにして引き受けることとした。実際には日本のHIV感染報告数は,右肩上がりに増えている。筆者自身,厚生労働省エイズ動向委員長として3ヵ月に一度,動向委員会の終了後に,最近とみにテレビによく映る厚生労働省内の記者会見場で毎回記者会見をしている。通常,翌日の一般新聞には小さいながら動向委員会の報告記事が出る。12月1日の世界エイズデイや6月初旬のHIV検査普及週間前後には,地下鉄その他にキャンペーンのポスターが洪水のように張り出されるので,きっと目にしている方が多いはずである。現在の新型インフルエンザキャンペーンには及ぶべくもないが,報道やポスターばかりでなく,テレビやラジオにおいてもHIV/AIDSは感染症の中ではよく取り上げられているはずである。なのに,である。本稿では,臨床をしながら研究しているという自分の専門性からは外れるが,日本を中心にHIV/AIDSの疫学動向について整理してみたい。
参考文献
1)厚生労働省エイズ動向委員会:平成19年エイズ発生動向年報,平成20年5月20日
2)厚生労働省エイズ動向委員会:平成21年2月18日記者会見資料
3)市川誠一:http://idsc.nih.go.jp/iasr/29/340/dj3401.html
4)平成10年厚生労働省エイズ動向委員会報告:(http://www1.mhlw.go.jp/houdou/1103/h0330-2_b_11.html)
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