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文献詳細

雑誌文献

生体の科学60巻2号

2009年04月発行

文献概要

特集 感染症の現代的課題

MRSA VREの最近の動向

著者: 平松啓一1 椿下早絵1 桒原京子1 本郷勇1 馬場理1

所属機関: 1順天堂大学大学院微生物学・感染制御科学

ページ範囲:P.103 - P.109

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 近年,抗生物質多剤耐性グラム陽性球菌が増加し,その対策が医療現場で大きな問題となっている。その代表であるVREとMRSAの最新の話題を提供する。

 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus:MRSA)は,1961年にその最初の株が英国で発見されて以来,現在に至るまで,半世紀にわたってわれわれに身近な感染症の原因菌として蔓延している。MRSAはペニシリン,セフェムなどのβ-ラクタム薬がすべて無効である黄色ブドウ球菌である。1961年におけるMRSAの検出頻度は,テストした黄色ブドウ球菌臨床分離株の1000分の1程度であった1)。今世紀に入ると,単に黄色ブドウ球菌の一部として抗生物質の効かない(多剤耐性の)MRSAがあるというレベルを越えて,病院におけるメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)とMRSAの比率は逆転し,むしろMRSAがはるかに優勢である。1970年ころからMRSAは全世界の病院に蔓延し,今世紀になると病院外にも見出され,とくにここ数年はアメリカなどで病院外で爆発的に感染症を多発し,MRSAは市中感染症の原因菌として認識を新たにしている。この市中感染型のMRSAはcommunity-associated MRSA(CA-MRSA)と呼ばれている。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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