文献詳細
特集 感染症の現代的課題
細菌のエフェクター輸送システムはどれだけわかっているのか
著者: 阿部章夫1
所属機関: 1北里大学大学院感染制御科学府細菌感染制御学研究室
ページ範囲:P.110 - P.116
文献概要
グラム陰性菌の細胞質は細胞質膜(内膜)と外膜で被われており,タンパク質が菌体外に分泌されるためには,この二つの膜構造を越える必要がある。このような膜構造をもつために,グラム陰性菌では多様な分泌装置が発達してきた(図1)。一方,グラム陽性菌は外膜をもたないために,一つの膜構造(内膜)を越えるだけでタンパク質は菌体外に分泌される。このため,Sec膜透過装置が直接分泌装置として機能しているが,他の分泌装置については長い間謎であった。しかしながら,新たな分泌装置が結核菌で発見され,その後,他のグラム陽性菌にも保存されていることが明らかとなり,現在ではⅦ型分泌装置として総称されている。本稿では,まず初めに分泌装置の全体像を述べ,エフェクターの宿主移行に関与するT3SSにおける最近の知見を紹介したい。
参考文献
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