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特集 感染症の現代的課題
細菌感染症におけるクオラムセンシング機構の役割
著者: 舘田一博1
所属機関: 1東邦大学医学部微生物・感染症学講座
ページ範囲:P.117 - P.121
文献購入ページに移動 細菌の産生するホルモン様物質(autoinducer)を介した情報伝達機構,すなわちクオラムセンシング(Quorum-sensing)が微生物学・感染症学・化学療法学の分野で注目されている。これはビブリオ属細菌における菌数依存的な蛍光物質産生という現象から見つかってきたシステムであるが,その後,緑膿菌をはじめとする多くの病原細菌が本機構を用いて病原因子発現をコントロールしていることが明らかとなっている。また最近では,このautoinducer分子が生体細胞に対しても多彩な影響を及ぼしていることが報告され,菌側と生体側の両面から感染症の発症に関与する因子として注目されている。ここでは緑膿菌のクオラムセンシング機構に焦点を当て,その基本構造と特徴を概説するとともに,本機構の感染病態形成における役割,クオラムセンシングをターゲットとした新しい感染症治療の可能性について述べてみたい。
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