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文献詳細

雑誌文献

生体の科学60巻2号

2009年04月発行

文献概要

特集 感染症の現代的課題

ワクチンで防御可能なウイルス性疾患―麻疹,風疹,おたふくかぜ

著者: 加藤篤1

所属機関: 1国立感染症研究所ウイルス第三部

ページ範囲:P.138 - P.144

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 今のわが国では戦後の荒廃は遠い過去のものとなり,衣食住,上下水道,医療などの公衆衛生上の社会的基盤が整い,健康な生活を送ることがあたりまえの時代になった。そんな中,2007年春に起った麻疹(はしか)の発生による大学休講のニュースは記憶に新しい。そこで本稿では感染症の現代的課題として“なぜ今,大学生に麻疹が?”を理解するために予防接種について考えてみよう。

 さて,戦後しばらくは衛生環境が悪く,シラミが媒介するリケッチアを原因菌とする発疹チフスの発生を防ぐため,進駐軍が持ち込んだ有機塩素化合物DDTの白い粉を頭から降りかけられるような状態であった。そのような状況を鑑み,終戦から3年後の1948年にGHQの強い関与のもと感染症対策として予防接種法が制定され,12の疾病が予防対策対象になった(図1)。その後,法は幾度も改正され,2007年の改正により,現在ではその対象疾患はジフテリア,百日咳,破傷風(以上3種混合DTPおよび2種混合DPワクチン),麻疹,風疹(以上2種混合MRワクチン),ポリオ,日本脳炎(ただし北海道を除く,また現在は積極的勧奨は停止中),インフルエンザ(65歳以上の者,毎年1回),結核(BCGワクチン,生後6ヵ月に至るまでの者1回)の9の疾病となっている。

参考文献

1)中山哲夫:日本臨牀 66:1851-1857,2008
2)堺春美:臨床とウイルス 34:236-243,2006
3)小出雄彦:麻疹(はしか)ワクチン「最新予防接種の知識」,pp64-75,細菌製剤協会,東京,1992
4)中山哲夫:麻疹ワクチン,化学療法の領域 14:52-58,1998
5)中山哲夫:麻疹ワクチン,Virus Report 4:54-65,2007
6)岡部信彦:ウイルス 57:171-180,2007
7)加藤篤:臨床とウイルス 34:261-270,2006
8)川上正郎:臨床とウイルス 22:251-259,1994
9)砂川富正:日本臨牀 66:1938-1943,2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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