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文献詳細

雑誌文献

生体の科学60巻3号

2009年06月発行

文献概要

特集 脳と糖脂質

細菌性神経毒素とガングリオシド

著者: 居原秀1 小崎俊司2

所属機関: 1大阪府立大学理学部生物科学科 2大阪府立大学生命環境学部獣医学科

ページ範囲:P.228 - P.233

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 細菌感染症の病原因子として研究されてきた細菌毒素は,毒性発現機構の解明が進むにつれて,毒素の構造を巧みに利用した非常に高い特異性を発揮して作用することが明らかになってきた。細菌毒素の多くは,酵素活性を有する部分A(active)サブユニット(またはドメイン)と,標的組織または細胞に結合する部分B(binding)サブユニット(またはドメイン)からなるA-B型毒素の構造をとっている。細菌毒素が毒性を発揮するためには,まず細胞膜表面に結合しなければならず,細菌毒素が微量で特異性の高い作用を示すのは,Bサブユニットが細胞膜上に存在する特定の物質と高い親和性を持って結合するため,毒素が標的組織または細胞内に容易に侵入することができることが主な要因のひとつになっている。

 細菌毒素に対するレセプターが多く報告されているが,その中でも多くの細菌毒素が細胞膜上に存在するガングリオシドをレセプターとして認識する(表1)。自然界で最も強力で,神経系に特異的に作用するクロストリジウム神経毒素(ボツリヌス毒素A-G型,破傷風毒素)とそのレセプターとしてのガングリオシドがよく研究されており,これらの毒素群が同一の祖先分子から進化しているにもかかわらず,ガングリオシドの要求性,認識機構,補因子の種類が異なっていることも明らかになっている。本章では,クロストリジウム神経毒素のレセプターとしてのガングリオシドについて概説する。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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