icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学60巻3号

2009年06月発行

文献概要

特集 脳と糖脂質

GM2ガングリオシド蓄積症モデルマウス脳内への組換え酵素補充効果と蓄積糖脂質の変動

著者: 伊藤孝司1 辻大輔1

所属機関: 1徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部薬科学教育部附属医薬創製教育研究センター創薬生命工学分野

ページ範囲:P.234 - P.239

文献購入ページに移動
 GM2ガングリオシドーシスは,複合糖質糖鎖の非還元末端にβ結合したN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)またはN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)残基の分解活性をもつリソソーム性β-ヘキソサミニダーゼ(Hex,EC3.2.1.52)およびその補助因子であるGM2アクチベータータンパクの遺伝子変異が原因で,脳内GM2ガングリオシド(GM2)の過剰蓄積と中枢神経障害を主症状として発症する先天性糖質代謝異常症(リソソーム病)である1,2)

 Hexはαおよびβの二種のサブユニットから構成され,活性発現には二量体形成が必須であるが,その組み合わせによりHexS(αα),HexA(αβ)およびHexB(ββ)の3種のアイソザイムとして存在する。各サブユニットには基質特異性の異なる触媒部位が1ヵ所ずつ存在し,β鎖が中性糖鎖を認識するのに対し,α鎖は硫酸化GalNAc残基などを含む酸性糖鎖に対する選択性が高い。また,生体内では主にHexAとHexBが発現しており,HexSは不安定なためその存在量は少ない。さらに,アイソザイムのうちHexAのみがGM2アクチベータータンパクと協同してGM2を分解することができる1,3)

参考文献

1)Gravel A, Kaback M, Proia RL et al:The Metabolic and Molecular Bases of Inherited Diseases, 8th(ed), VolⅢ, pp3827-3877, McGraw-Hill, New York, 2001
1455:105-138, 1999
3)伊藤孝司,辻大輔,櫻庭均:生体の科学 57:224-228,2006
345:9-16, 2001
73:4805-4812, 2007
11:170-176, 1995
14:348-352, 1996
97:10954-10959, 2000
126:974-987, 2003
92:1497-1507, 2005
22:219-240, 1999
101:8425-8430, 2004
(in press)
50:460-467, 2005
1117:97-103, 1992

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?