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特集 睡眠と脳回路の可塑性
睡眠と抑制性シナプス伝達
著者: 黒谷亨1 小松由紀夫2
所属機関: 1理化学研究所脳科学総合研究センター脳皮質機能構造研究チーム 2名古屋大学環境医学研究所ストレス受容応答研究部門
ページ範囲:P.269 - P.275
文献購入ページに移動では,睡眠はどのようなメカニズムを通じて,これら可塑性現象など脳の情報処理過程に影響を与えるのだろうか。それを知るためには,睡眠・覚醒中に大脳皮質の個々の神経細胞に生じる変化をシナプスレベルで明らかにする必要がある。睡眠中の哺乳類の脳波パターンは,睡眠の種類に依存して変化する。睡眠には「REM(Rapid Eye Movement)睡眠」と,それ以外の「non REM(NREM)睡眠」があるが,REM睡眠時には覚醒時に近い,比較的周波数の高い低振幅の脳波が,またNREM睡眠時にはゆっくりとした振幅の大きな脳波が出現する。NREM睡眠は,ヒトにおいては脳波の周波数成分や振幅,また睡眠の深さの程度などから,さらにステージ1から4までに細分される。このうち,ステージ3と4は特に徐波睡眠(slow wave sleep:SWS)と呼ばれる深い睡眠であり,脳波にも大振幅徐波が現れる(図1)2)。
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