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特集 伝達物質と受容体 1.アミノ酸 興奮性
NMDA受容体アンタゴニストとしての亜鉛と海馬LTP
著者: 武田厚司1 奥直人1
所属機関: 1静岡県立大学薬学部医薬生命化学分野
ページ範囲:P.356 - P.357
文献購入ページに移動亜鉛/NMDA受容体
記憶形成を司る海馬の亜鉛濃度は約300μMであり,他の領域と比べて高い。また,Timm's染色(亜鉛イオンが染まる)では苔状線維が存在する透明層が最も強く染色され,シャーファー側枝が存在するCA1放線層,貫通線維が存在する歯状回分子層も染色される。大脳皮質からの情報は貫通線維シナプス,苔状線維シナプス,シャーファー側枝シナプスの三つのシナプスで処理され,記憶される(図)。これらのシナプスはグルタミン酸作動性であり,グルタミン酸とともに亜鉛が放出される。特に,苔状線維ではすべての終末から亜鉛が放出される(シャーファー側枝では約45%の終末から)。細胞外に放出された亜鉛はグルタミン酸受容体などに作用し,グルタミン酸作動性シナプスの活動を調節する。
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