icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学60巻5号

2009年10月発行

文献概要

特集 伝達物質と受容体 1.アミノ酸 興奮性

NMDA受容体アンタゴニストとしての亜鉛と海馬LTP

著者: 武田厚司1 奥直人1

所属機関: 1静岡県立大学薬学部医薬生命化学分野

ページ範囲:P.356 - P.357

文献購入ページに移動
 [用いられた物質/研究対象となった受容体]

 亜鉛/NMDA受容体


 記憶形成を司る海馬の亜鉛濃度は約300μMであり,他の領域と比べて高い。また,Timm's染色(亜鉛イオンが染まる)では苔状線維が存在する透明層が最も強く染色され,シャーファー側枝が存在するCA1放線層,貫通線維が存在する歯状回分子層も染色される。大脳皮質からの情報は貫通線維シナプス,苔状線維シナプス,シャーファー側枝シナプスの三つのシナプスで処理され,記憶される(図)。これらのシナプスはグルタミン酸作動性であり,グルタミン酸とともに亜鉛が放出される。特に,苔状線維ではすべての終末から亜鉛が放出される(シャーファー側枝では約45%の終末から)。細胞外に放出された亜鉛はグルタミン酸受容体などに作用し,グルタミン酸作動性シナプスの活動を調節する。

参考文献

34:137-148, 2000
500:101-111, 2004
26:7181-7188, 2006
86:2909-2911, 2008
158:585-591, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?