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文献詳細

雑誌文献

生体の科学60巻5号

2009年10月発行

文献概要

特集 伝達物質と受容体 1.アミノ酸 興奮性

NMDA受容体の調節領域(R-domain)へ結合するポリアミンとイフェンプロジル

著者: 五十嵐一衛1

所属機関: 1千葉大学大学院薬学研究院病態生化学研究室

ページ範囲:P.360 - P.361

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 [用いられた物質/研究対象となった受容体]

 スペルミン,イフェンプロジル/NMDA受容体


 ポリアミン[プトレスシン(PUT,NH2(CH24NH2),スペルミジン(SPD,NH2(CH23NH(CH24NH2),スペルミン(SPM,NH2(CH23NH(CH24NH(CH23NH2)]はウイルスからヒトに至るまで生物界に広く存在する生理活性アミンであり,主として核酸,特にRNAと相互作用することにより蛋白質・核酸合成を促進し,細胞増殖因子として機能する1)。また,NMDA受容体やヘパリンなどのグリコサミノグリカンとの相互作用を通し,生体機能のモジュレーションにも関与している。

 脳は細胞増殖が活発でないにもかかわらずポリアミン含量が比較的多く,脳におけるポリアミンの役割が注目されていた。1990年代に入ると,長期増強に基づく記憶形成およびCa2+のニューロンへの流入による脳虚血時の症状悪化に強く関わっているNMDA受容体のcDNAのクローニングが成功し,その活性測定がアフリカツメガエルの卵母細胞にNMDA受容体mRNAを注入することにより可能になり,ポリアミン,特にSPMがNMDA受容体を脱分極(興奮)時に活性化し,過分極(静止)時に阻害することが明らかとなった。

参考文献

126:455-471, 2006
271:9519-9525, 1996
55:957-969, 1999
84:610-617, 2003
107:1566-1577, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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