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特集 伝達物質と受容体 1.アミノ酸 抑制性
前脳GABAA受容体とバゾプレッシン分泌
著者: 山口賢一1 山田貴穂1 長谷川功2
所属機関: 1新潟大学大学院医歯学総合研究科内部環境医学講座 2新潟大学大学院医歯学総合研究科感覚統合医学講座
ページ範囲:P.378 - P.379
文献購入ページに移動ビククリン/GABAA受容体
GABA(γ-アミノ酪酸)は無脊椎,脊椎動物に広く分布する抑制性神経伝達物質である。哺乳類では,専ら中枢神経系に存在する。GABAは興奮性神経伝達物質グルタミン酸(Glu)から,Glu脱炭酸酵素(GAD)の働きで作られる。Gluの源はTCA回路のα-ケトグルタル酸であるが,GABAがトランスアミナーゼにより代謝され,最終的にコハク酸になる系からも作られる。産生を巡るこのような両者の関係は,GABAによる抑制性調節機構とGluによる興奮性調節機構が系統発生上連関しつつ発達したことを示唆する。
GABAの分泌も回収も神経,グリアの双方が行うが,その過程で様々な輸送体が働く。分泌がシナプス内外で起こるように,受容体もその内外に存在する。それゆえ,GABAは神経伝達物質にも修飾物質にもなり得る。哺乳動物の中枢神経系は二種類のGABA受容体(-R)をもつ。GABAA-Rは膜を貫く5個のサブユニットから成り,主にCl-を通す負のイオンチャネルとして,シナプス後膜やシナプス外に存在する。サブユニットと組合せの違いから,約30のGABAA-Rサブタイプがある。GABAA-Rの性質,作用,細胞内分布はサブユニット構成と相関する。他方,ヘテロ二量体であるGABAB-Rはシナプス前膜や後膜に存在し,G-タンパク質依存性にcAMP産生低下,Ca2+チャネル抑制(シナプス前的),K+チャネル開口(シナプス後的)を惹起し,神経活動や伝達物質の放出を変化させる。
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