文献詳細
文献概要
特集 伝達物質と受容体 1.アミノ酸 抑制性
ロードーシス制御におけるGABAAとGABAB受容体
著者: 山内兄人1 掛山正心2
所属機関: 1早稲田大学人間科学学術院神経内分泌研究室 2東京大学大学院医学系研究科疾患生命工学センター健康環境医工学部門
ページ範囲:P.382 - P.383
文献購入ページに移動THIP,ムシモール/GABAA受容体
バクロフェン/GABAB受容体
●ロードーシス制御機構
発情している雌ラットは,雄ラットがマウント(背部からの交尾行動)をすると反射的に腰部と頭部をあげ脊柱を湾曲させる雌特有のロードーシス行動を示す(図)。マウント時の雄前肢による皮膚刺激が中脳中心灰白質(MCG)のロードーシス統御機構につたわり,MCGの働きでロードーシスが生じる。ロードーシス行動にはエストロゲンが不可欠で,エストロゲンは視床下部腹内側核(VMN)のロードーシス促進機構を機能させ,外側中隔(LS)の抑制機構の抑制力を解除することで発情状態を誘起する。
ロードーシス制御にはいろいろな神経伝達物質をもつ神経が関係しており,GABA神経系はその一つである。発情雌の視床下部GABA量は非発情雌より多い。GABAをラットVMNに直接注入すると15分でロードーシスが低下し,拮抗剤であるピクロトキシンを注入すると促進される。したがって,総体的にGABAはロードーシスを抑制する働きをもつ。多くのGABA神経はショートアクソンをもち核内回路の一部として働いており,イオンチャネル型のGABAAと代謝型のGABABの二つのサブタイプの受容体を介して作用している。
参考文献
掲載誌情報