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文献詳細

雑誌文献

生体の科学60巻5号

2009年10月発行

文献概要

特集 伝達物質と受容体 1.アミノ酸 抑制性

未分化神経細胞における繊毛性神経栄養因子(CNTF)受容体のGABAA受容体による発現増

著者: 宝田剛志1 米田幸雄1

所属機関: 1金沢大学大学院自然科学研究科健康薬学講座

ページ範囲:P.384 - P.385

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 [用いられた物質/研究対象となった受容体]

 ムシモール/GABAA受容体


 ●神経幹細胞

 神経幹細胞は自己複製能とともに,神経細胞,アストロサイトおよびオリゴデンドロサイトへの多分化能を併せ持つ原始細胞である。従来,脳の神経細胞新生は生後まもなくに停止して,以降に障害を受けた場合は神経細胞自体に分裂能がないために脳機能再生は不可能であると信じられ続けてきた。しかしながら,近年この神経幹細胞は胎児期脳において神経細胞やグリア細胞を供給するのみならず,成体脳においても特定の脳内部位では神経細胞が新生することが発見され1),この新生神経細胞は記憶や学習など成体脳の可塑性形成メカニズムに重要な役割を演じると考えられている2)。さらに,脳梗塞をはじめとする組織障害ストレスシグナルに応答して,脳室周囲の神経幹細胞は障害部位に移動し,その部位で新規に神経細胞を産生する可能性も報告されている。このような事実から,現在では的確な治療法の見当たらない神経変性疾患の治療戦略の一つとして,神経幹細胞の移植および内在性神経幹細胞を利用する治療法に期待が寄せられている。

参考文献

4:1313-1317, 1998
85:523-569, 2005
290:149-152, 1981
2009(in press)
86:2615-2623, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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