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特集 伝達物質と受容体 1.アミノ酸 抑制性
GABAA受容体アンタゴニストによるLTP様作用の誘発
著者: 松山正剛1 角山圭一1 谷口泰造1
所属機関: 1姫路獨協大学薬学部
ページ範囲:P.392 - P.393
文献購入ページに移動ビククリン/GABAA受容体
中枢におけるGABA(ガンマーアミノ酪酸)は抑制性神経伝達物質として作用し,学習記憶機能とも深く関わっている。学習記憶の中心的役割を担っている海馬に,GABA神経は内側中隔野,対角帯から投射され,海馬神経の約10%をGABA神経が占めている。中枢のGABA受容体サブタイプには,GABAA受容体とGABAB受容体が存在する。
学習記憶の基礎過程であるシナプス可塑性を反映する長期増強現象(long-term potentiation:LTP)に関しては,海馬スライスを用いた多くの電気生理学的研究がなされてきた。GABA受容体サブタイプ別のLTPへの作用について,GABAB受容体の阻害に関しては,海馬の部位,テタヌス刺激の種類などによって様々である。一方,GABAA受容体の阻害に関しては,GABAA受容体阻害薬を海馬スライスの還流液中に投与しておくことでGABA神経の抑制機構の抑制によって,興奮性神経系シナプスでのLTPの増強を含めた明確な反応が得られやすくなることはよく知られている。近年,CA1領域における興奮性シナプスのLTPには抑制性シナプスの長期抑制現象が併発し,GABAA受容体を介する神経活動の抑制機構が重要な役割を果たしていること1),また,GABAA受容体欠損マウスでのLTPの増強傾向2),さらに,
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