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特集 伝達物質と受容体 3.アミン セロトニン
5-HT1B受容体に共役したG蛋白質の活性化アッセイ
著者: 小田垣雄二1 豊嶋良一1
所属機関: 1埼玉医科大学医学部神経精神科・心療内科
ページ範囲:P.432 - P.433
文献購入ページに移動5-HT,L694247,GR46611,CP93129,CGS12066A,(±)-8-OH-DPAT,(±)-DOI/5-HT1B受容体
5-HT受容体ファミリーは各種神経伝達物質受容体のなかでも最も多様性に富んでおり,さまざまな生体機能と関連を有していることが知られている。その亜型分類は当初はもっぱら薬理学的特徴に基づいて行われていたが,近年の分子生物学的研究手法の発展にともなってアミノ酸配列の詳細が明らかとなり,現在では5-HT1-7の7種の亜型ファミリーに分類されている。それぞれの亜型ファミリーの多くはさらに複数のサブタイプからなるため,現在まで少なくとも14種の5-HT受容体亜型の存在が知られている1)。
各5-HT受容体サブタイプの特徴や生理機能との関連については前出の概説に述べられているが,本稿ではこのうち,特に5-HT1B受容体に焦点を当て,この受容体サブタイプを介した三量体G蛋白の活性化反応について述べる。5-HT1B受容体は,もともとはラット脳における[3H]5-HT結合部位についての薬理学的検討のなかで,5-HT1A受容体とは性質を異にする受容体として命名されたが,ヒトやウシなどの脳で薬理学的に同定された5-HT1D受容体との異同については,一時分類上の混乱が見られた。しかし,その後,各動物種における各受容体亜型についてのクローニングが進む中で再整理が行われ,現在では5-HT1D受容体とは別個の受容体亜型として存在することが知られている。その薬理学的性質は動物種によって異なるため,r5-HT1B(ラット)あるいはh5-HT1B(ヒト)などと動物種を指示して表示することがある。また,薬理学的には両者を必ずしも十分に分離できないことも多く,そのような場合には5-HT1B/1Dまたは5-HT1B/Dと総称されることもある。
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