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文献詳細

雑誌文献

生体の科学60巻5号

2009年10月発行

文献概要

特集 伝達物質と受容体 4.ペプチド オピオイド

Endomorphin-2の鎮痛特性

著者: 溝口広一1 櫻田忍1

所属機関: 1東北薬科大学機能形態学教室

ページ範囲:P.448 - P.449

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 [用いられた物質/研究対象となった受容体]

 endomorphin-2/μオピオイド受容体


 Endomorphin-2(Tyr-Pro-Phe-Phe-NH2)は,1997年にZadinaらによってendomorphin-1(Tyr-Pro-Trp-Phe-NH2)と共に発見された内因性オピオイドペプチドである。Endomorphin-2およびendomorphin-1は,従来の古典的内因性オピオイドペプチドとは異なり,N末端にTyr-Gly-Gly-Pheといった共通構造を持たず,またC末端がアミド基で保護されているといった特徴を持つ。古典的内因性オピオイドペプチドが一般に複数のオピオイド受容体に高い親和性を示すのに対し,endomorphin-2およびendomorphin-1はμオピオイド受容体のみに対して極めて高い親和性を示し,δおよびκオピオイド受容体には全く親和性を示さない。また,脊髄や脳組織におけるそのGタンパク活性化作用は,μオピオイド受容体拮抗薬によってのみ抑制されることからも,そのμオピオイド受容体選択性が確認されている。

 Endomorphin-2およびendomorphin-1の内活性(Gタンパク活性化作用)は,μオピオイド受容体の完全作動薬であるDAMGO([D-Ala2, N-MePhe4, Gly-ol5]enkephalin)の約6割であることから,両ペプチドはμオピオイド受容体の部分作動薬とされている。Endomorphin-2はendomorphin-1と共に,μオピオイド受容体作動薬に共通の種々の薬理作用を持つことから,内因性のμオピオイドペプチドであると一般に考えられているが,その産生遺伝子(あるいはその前駆体産生遺伝子)が未だ発見されていないことから,内因性オピオイドペプチドと認定するには時期尚早であるとする意見もある。

参考文献

386:499-502, 1997
94:203-207, 1999
427:203-210, 2001
137:1143-1146, 2002
317:362-368, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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