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特集 伝達物質と受容体 4.ペプチド オピオイド
鎮痛効果を持つピリミジンヌクレオシド誘導体
著者: 木村敏行1 清水寛美2 山本郁男2
所属機関: 1北陸大学薬学部衛生化学教室 2九州保健福祉大学薬学部第二生化学講座,衛生薬学講座
ページ範囲:P.454 - P.455
文献購入ページに移動ピリミジンヌクレオシドは,ピリミジン塩基の1位のNがリボースあるいはデオキシリボースの1位のCと結合した化合物(表参照)をさすが,核酸成分でもあり,加水分解によってシチジン,ウリジンおよびチミジンを生成する。これらピリミジンヌクレオシド研究は,これまで核酸代謝の制御を目的として制癌活性を有するヌクレオシド類の開発研究が主であったが,プリンヌクレオシドが持つ体温降下,血圧降下,抗アレルギー,鎮痛作用は知られてはいない。一方,ウリジンは断眠ラット脳幹より抽出された睡眠促進物質(SPS:sleep-promoting substance)であり,その脳内微量注入は自然睡眠を増強することが報告されている1)。
われわれはウリジンの塩基部分のウラシルがバルビツール酸骨格に類似していることから,催眠薬の開発を試みた。その過程でピリミジンヌクレオシド誘導体の催眠作用を見出し,これらが特異的に結合するウリジン受容体の存在を報告した2,3)。SPSの中には,Delta sleep-inducing peptide(DSIP)のように鎮痛効果を兼ね備えているペプチドもあるので,ウリジンを主体とする化合物も鎮痛効果を有する可能性がある。そこで,鎮痛検定法を用いて検討した結果,予想どおりピリミジンヌクレオシド誘導体における鎮痛効果を発見した4)。中でも催眠活性の強い
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