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文献詳細

雑誌文献

生体の科学60巻5号

2009年10月発行

文献概要

特集 伝達物質と受容体 4.ペプチド オピオイド

PETによる脳内σ1受容体の定量

著者: 坂田宗之1 石渡喜一1

所属機関: 1東京都健康長寿医療センター研究所神経画像研究チーム

ページ範囲:P.464 - P.465

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 [用いられた物質/研究対象となった受容体]

 11C-SA4503/σ1受容体


 ●σ1受容体とPET

 σ受容体はオピオイド受容体のサブタイプとして存在すると考えられていたが,その後は多くの神経受容体とは異なった新規のタンパク質であることが明らかになった。少なくとも2種のサブタイプが存在し,中枢から末梢組織まで広く存在していている。近年の研究によれば,σ1受容体は主として小胞体上に存在する223アミノ酸からなる25kDaの膜2回通貫型のタンパク質であり,中枢神経系では神経細胞のほか,アストロサイト,オリゴデンドロサイト細胞にも発現する。

 その機能としては,急性的にはイオンチャネルの活性を調整することで神経細胞の興奮性を調整し,慢性的には受容体発現の増加でシナプス,ミエリン形成の活性化を誘導することが明らかになってきた1)。Positron emission tomography(PET)は,生体内に投与した超短半減期のポジトロン核種で標識した放射性薬剤の動態を体外からPETカメラで計測し,薬剤の動態モデルに基づいた解析により,生体内の生化学的,生理学的情報を計測する。われわれはσ1受容体の選択的アゴニストのSA4503(1-〔3,4-dimethoxyphenethyl〕-4-〔3-phenylpropyl〕piperazine)の4-methoxy基を11C(半減期20.4分)で標識したリガンドにより,初めてPETによるヒト脳のσ1受容体の計測に成功した2)

参考文献

1)林輝男:臨床精神薬理 10:1205-1212,2007
35(1):1-8, 2007
27(9):1533-1539, 2007
21(9):533-535, 2007
22(2):143-146, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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