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特集 伝達物質と受容体 4.ペプチド 腸ペプチド
交感神経を介したニューロペプチドYによる骨吸収(骨溶解)の阻害
著者: 戸苅彰史1 新井通次1
所属機関: 1愛知学院大学歯学部薬理学講座
ページ範囲:P.484 - P.485
文献購入ページに移動ニューロペプチドNPY/NPY(Y1)受容体
骨は常に破骨細胞による骨吸収(骨溶解)と骨芽細胞による骨形成からなる活発な代謝(リモデリング)を営み,その動的平衡のもとに骨塩量を一定に維持している。この破骨細胞と骨芽細胞の活動制御には,副甲状腺ホルモン(PTH),1,25(OH)2D3およびカルシトニンなど全身性のホルモンやサイトカインのようなオートクリン/パラクリン因子が関与している。また,近年,別の制御システムとして骨代謝調節における神経系の役割が注目されている1)。骨組織にはニューロペプチドY(NPY)などの神経ペプチドやノルアドレナリンを含有する神経線維が分布し,骨代謝に関わる細胞活性を制御している可能性が示されている。われわれは,ヒト骨膜由来骨芽細胞(SaM-1)およびヒト破骨細胞がアドレナリン受容体(α1B,α2Bおよびβ2-R)を恒常的に発現していることを認め,さらに,一連の研究により交感神経系の活動が骨吸収を促進している可能性を示している1-3)。
NPYは中枢および末梢神経系に広く分布し,中枢では主に摂食調節に関わり,交感神経系ではノルアドレナリンの共伝達物質として標的細胞の活動に関わっている。骨芽細胞ではNPY受容体(Y1-R)の発現も認められ,NPYが骨代謝制御に関与している可能性が示されている3,4)。ここでは,われわれの知見を踏まえて交感神経系による骨吸収促進とNPYの関わりについて解説する。
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