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特集 伝達物質と受容体 5.脂質 リゾホスファチジン酸
神経障害性疼痛におけるリゾリン脂質のフィードフォワード性産生制御機構と病態生理機構
著者: 植田弘師1 関野有紀1
所属機関: 1長崎大学大学院医歯薬学総合研究科分子薬理学分野
ページ範囲:P.490 - P.491
文献購入ページに移動リゾホスファチジン酸/LPA1受容体
リン脂質(PLs)の2本のアシル基のうち1本が除かれたリン脂質をリゾリン脂質(LPLs)という。このリゾリン脂質は容易に生体膜から離れ,他の膜へと移行し,脂質メディエーターとしての機能を持つことが近年明らかとなってきている。生体内には様々なリゾリン脂質が存在するが,量的に最も多いのはリゾホスファチジルコリン(LPC)であり,哺乳類の血液中には約数100μMという高濃度のLPCが存在する。一方,生体内での存在量は少ないが,必要時に産生され強力な作用を発揮するリゾリン脂質群があり,その一つにリゾホスファチジン酸(LPA)がある。このLPAは細胞増殖性・運動性の亢進,抗アポトーシス作用,神経突起の退縮など多彩な作用が報告されている。また,LPA受容体,産生酵素のノックアウトマウス,遺伝病の解析から脳の形態形成,神経障害性疼痛,生殖,育毛,血管形成などに関与することが明らかとなってきており,このリゾリン脂質が個体レベルで重要な役割を担う生理活性脂質として注目されている。
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