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特集 伝達物質と受容体 5.脂質 カンナビノイド
内因性カンナビノイドによるシナプス伝達の制御
著者: 谷村あさみ1 橋本谷祐輝1 狩野方伸1
所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科神経生理学教室
ページ範囲:P.496 - P.497
文献購入ページに移動内因性カンナビノイド/CB1受容体
大麻草由来の麻薬であるマリファナの摂取は,幻覚,鎮痛,食欲亢進,運動障害といった様々な中枢作用を引き起こす。これらの作用は,マリファナに含まれるΔ9-テトラヒドロカンナビノール(Δ9-THC)が脳内にあるカンナビノイド受容体を活性化するためであると考えられている。Δ9-THCをリガンドとする受容体が脳内にあるということは,Δ9-THC類似体が生体内で産生されていることを示唆しており,1990年代に生体内で産生されカンナビノイド受容体を活性化する物質として内因性カンナビノイドが同定された。
2001年に,内因性カンナビノイドがシナプスにおいて逆行性に神経伝達効率を調節することが明らかとなって以来1,2),内因性カンナビノイドによる逆行性シナプス伝達機構の解明は飛躍的に進んできた。本稿では,最近の知見をはじめとした内因性カンナビノイドによる逆行性シナプス伝達とその役割について紹介する。
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