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文献詳細

雑誌文献

生体の科学60巻5号

2009年10月発行

文献概要

特集 伝達物質と受容体 6.プリン

P2Y10受容体の進化的位置とリガンド

著者: 藤田典久1

所属機関: 1立命館大学薬学部情報薬理学

ページ範囲:P.504 - P.505

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 [用いられた物質/研究対象となった受容体]

 スフィンゴシン1リン酸,リゾホスファチジン酸/P2Y10受容体


 ●受容体の進化系統樹解析とP2Y10受容体

 ヒトゲノムには約1000個のGタンパク質共役型受容体(GPCR)がコードされているが,その三分の一近くはいわゆる医薬品の分子標的となるGPCRである。GPCRは7回膜貫通型へリックス構造を基本骨格とするが,369種類のGPCRからそれぞれ七つの膜貫通部位を予測し,PHYLIPを利用した進化系統解析を行った1)。その結果,47種類のメンバーからなるP2Y受容体ファミリーが得られ,その中にはP2Y10受容体をはじめ,13種類のオーファンGPCRが含まれていた(図)。

 P2Y10遺伝子はP2Y1受容体の遺伝子断片をプローブとしたホモロジークローニングにより単離されたが,いわゆる核酸受容体(P2Y1,2,4,6,11,12,13受容体)との相同性は低く(平均27%),進化の解析ツールによってはP2Y10受容体がP2Yファミリー外となる結果をもたらすこともある。事実,P2Y10受容体は核酸系リガンドによって活性化されることはない。

参考文献

371:707-712, 2008
363:861-866, 2007
1:5625-5636, 2005
122:47-57, 2008
274:34245-34252, 1999

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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