特集 ユビキチン化による生体機能の調節
脳の脱ユビキチン化酵素活性のユビキチン単量体と二量体による調節
著者:
和田圭司1
節家理恵子2
所属機関:
1国立精神・神経センター神経研究所疾病研究第4部
2青山学院大学理工学部化学・生命科学科
ページ範囲:P.546 - P.550
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脱ユビキチン化酵素(DUB:deubiquitinating enzyme)は,ユビキチンプロ蛋白質(proprotein)あるいはユビキチン化された蛋白質からユビキチンを切り出す酵素群の総称である。DUBはエネルギー依存的蛋白分解系であるユビキチン-プロテオソーム系の主要構成メンバーの一つとして位置づけられ,ヒトゲノム上約100種が存在する1-3)。これらは5種のファミリーに大別され,そのうち4種はシステインプロテアーゼであり,UCH(ubiquitin C-terminal hydrolase),UBP/USP(ubiquitin specific protease),OTU(ovarian tumor domain),MJD(ataxin3/Joseph domain)ファミリーから構成される1-3)。残る1種はJAMM(JAB1/MPN/Mov34 metalloenzyme domain zinc-dependent metalloprotease)ファミリーとして知られている1-3)。
われわれはこれらDUBのなかでUCHファミリーについて研究を行っており,今回UCHの内在性活性制御因子としてユビキチン単量体(モノユビキチン)とユビキチン二量体を見出したので概説する。なお,ユビキチン二量体についてはジユビキチンという表現もされるが,ubiquitinと無関係の遺伝子でdiubiquitin(別名ubiquitin DあるいはFAT10)と命名された遺伝子が存在するので混乱を避けるため本項では二量体という表記に統一する。