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特集 ユビキチン化による生体機能の調節
造血幹細胞の維持へのユビキチン-プロテオソーム系の関与
著者: 瀧原義宏1
所属機関: 1広島大学原爆放射線医科学研究所幹細胞機能学研究分野
ページ範囲:P.563 - P.569
文献購入ページに移動 トロント大学オンタリオ癌研究所におけるMcCullochらによるCFU-Sの発見を基に,機能的側面から造血幹細胞の概念が確立されてきた1)。造血幹細胞は,自己複製能とともに十数種の成熟血球細胞を生み出すことのできる多分化能を合わせ持った細胞と定義され,移植することによって造血組織を再構築し,長期に亘って全ての成熟血球成分を生み出すことができる。そして,多分に概念的かつ仮想的な造血幹細胞の存在を基にヒトに対して造血幹細胞移植が実施され始め,早くも50年以上が経過したが,輝かしい臨床成果を挙げている。
近年,細胞ソーティング技術の発展に伴って,一つの造血幹細胞からも造血の再構築が可能であることが示され,その存在が機能的側面のみならず,実体を伴った細胞として同定可能となってきた。造血幹細胞は幹細胞研究の中でもっとも古い歴史を有する幹細胞の一つであり,再生医療のプロトタイプともいえる造血幹細胞移植療法は医療としてすでに確立している現状である。相次ぐ各種造血サイトカインの同定とそのシグナル伝達機構の解明によって,造血を支持する分子基盤の理解に関しては画期的な進歩が成し遂げられてきた。しかし,造血幹細胞の同定方法が最近までretrospectiveなアッセイ系に依存せざるを得なかったことや,造血細胞中における造血幹細胞の頻度が低くex vivo で安定に増幅することができないこと等々の理由によって,造血幹細胞の活性がどのような分子基盤によって支持されているのかについては限られた知見しか得られていなかった。
近年,細胞ソーティング技術の発展に伴って,一つの造血幹細胞からも造血の再構築が可能であることが示され,その存在が機能的側面のみならず,実体を伴った細胞として同定可能となってきた。造血幹細胞は幹細胞研究の中でもっとも古い歴史を有する幹細胞の一つであり,再生医療のプロトタイプともいえる造血幹細胞移植療法は医療としてすでに確立している現状である。相次ぐ各種造血サイトカインの同定とそのシグナル伝達機構の解明によって,造血を支持する分子基盤の理解に関しては画期的な進歩が成し遂げられてきた。しかし,造血幹細胞の同定方法が最近までretrospectiveなアッセイ系に依存せざるを得なかったことや,造血細胞中における造血幹細胞の頻度が低く
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