文献詳細
文献概要
連載講座 中枢神経系におけるモジュレーション・15
中枢内高張食塩水負荷に対する自律神経・神経内分泌系の適応反応―内因性バゾプレッシンによる修飾
著者: 河南洋1 加藤和男2
所属機関: 1九州女子大学家政学部栄養学科 2防衛医科大学医学教育部生理学講座
ページ範囲:P.599 - P.604
文献購入ページに移動近年,嗜好や習慣またストレスなどに起因して,食・飲生活の乱れが問題視され,特に生活習慣病の危険因子として警告されている。中でも食塩(NaCl)の過剰摂取は食塩感受性高血圧を誘起する。しかし生体には元来,過剰摂取の食塩をうまく処理し,浸透圧やNa濃度を一定に保つ機構が備わっている。この適応機能の発現には視床下部の室傍核(PVN)と視索上核(SON)が関わっている(図1A)。両部位にある神経分泌ニューロンは下垂体後葉に投射し,バゾプレッシン(AVP)とオキシトシン(OT)を活動電位依存的に体循環に分泌する。さらに,PVNのニューロンの一部は脳幹や脊髄の自律神経節前ニューロンと直接線維連絡を持ち,自律神経系出力を調節している。
本稿では,中枢内へ高張食塩水(H-NaCl)を負荷することによって中枢性浸透圧受容器あるいはNa受容器を直接刺激した際,自律神経・内分泌系の統合部位である視床下部室傍核(PVN)の大細胞・小細胞ニューロン活動が内因性バゾプレッシン系を介していかに修飾されるかについて,われわれの研究成果を基に解説する。図1BはこのPVNへの主な入力系,核内の亜核,ならびに出力系の概要を示す。
参考文献
掲載誌情報