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脂質代謝調節の中心的役割を担う転写因子SREBPs
著者: 佐藤隆一郎1
所属機関: 1東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命化学専攻食品生化学研究室
ページ範囲:P.605 - P.610
文献購入ページに移動 SREBP(sterol regulatory element-binding protein)はLDL受容体遺伝子発現を制御する因子として精製,クローニングされた転写因子であり,bHLH-Zip(basic helix-loop-helix leucine zipper)構造を持つ。クローニングの結果,二つの異なる遺伝子にコードされるSREBP-1とSREBP-2が同定され,互いに47%のアミノ酸相同性を保持している1,2)。当初,LDL受容体遺伝子発現制御のためにどうして2種類の転写因子が必要なのか不明であったが,その後の研究からSREBP-1は主として脂肪酸代謝,SREBP-2はコレステロール代謝を制御する役割分担を持つことが明らかにされている。しかし,構造の酷似した2種類の転写因子は重複した役割も担っており,それぞれの制御機構の詳細については不明な点もまだ残っている。ここ10年間の研究により,脂質代謝制御にはSREBPのみならず複数の核内受容体が深く関与することが明らかにされている。さらに,それら核内受容体とSREBPは複雑なクロストークを行いつつ,重層的な代謝制御を執り行っている。そのような状況の中,制御機構の中心にはやはりSREBPが位置しており,その詳細な機能解析は脂質代謝のみならずエネルギー代謝などを理解する上でも最重要課題として残っている。
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