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特集 脳科学のモデル実験動物
ストレスと動物モデル
著者: 高橋琢哉1
所属機関: 1横浜市立大学 大学院医学研究科 生理学
ページ範囲:P.24 - P.29
文献購入ページに移動 精神神経疾患の客観的診断指標は非常に乏しい。癌などの他の疾患は生化学的マーカーをはじめとした多くの客観的マーカーが存在し,より正確な診断を可能にしている。一方で,精神疾患の診断は基本的に医師が患者を診たときの印象,すなわち主観に委ねられるところが大きい。また,治療法についてもこれといった一貫性がない。現在,精神疾患罹患者の多くは生活保護などの援助をなんらかの形で受けており,精神疾患の効率的な治療は社会の活性化にとって大きな貢献をするものと期待できる。客観的診断基準の乏しさ,統一性のある効率的治療法の欠如は精神疾患の分子細胞メカニズムがあまりに未知であることに起因している。これらの問題点を克服するためにも精神疾患の分子細胞メカニズムを解明する必要があろう。
精神疾患の分子細胞メカニズムを追及していく際,避けて通れないのが動物,特にげっ歯類を用いた実験系の開発である。しかしながら,客観的診断指標が少ない精神疾患の動物のモデルを考えるのは至難の業である。統合失調症などはモデル動物のトレンドが毎年学会に行く度に変わっていく印象さえ受けるほどである。基礎医学者がいくら動物モデルだと声高に唱えても精神科の医師には失笑されてしまうというのが現実である。完全な動物モデルなど存在しない。この現状でどのようにして動物モデルを考えていけばよいのだろうか。ありきたりのことしかいえないが,やはりまずは遺伝的素因にしても環境要因にしてもなるべく類似性を追求していくことであろう。その中で見つかってきたものをサルなどの人間により近い動物で,そして最終的には人間において検証していくというステップを踏むしかないであろう。
精神疾患の分子細胞メカニズムを追及していく際,避けて通れないのが動物,特にげっ歯類を用いた実験系の開発である。しかしながら,客観的診断指標が少ない精神疾患の動物のモデルを考えるのは至難の業である。統合失調症などはモデル動物のトレンドが毎年学会に行く度に変わっていく印象さえ受けるほどである。基礎医学者がいくら動物モデルだと声高に唱えても精神科の医師には失笑されてしまうというのが現実である。完全な動物モデルなど存在しない。この現状でどのようにして動物モデルを考えていけばよいのだろうか。ありきたりのことしかいえないが,やはりまずは遺伝的素因にしても環境要因にしてもなるべく類似性を追求していくことであろう。その中で見つかってきたものをサルなどの人間により近い動物で,そして最終的には人間において検証していくというステップを踏むしかないであろう。
参考文献
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