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文献詳細

雑誌文献

生体の科学61巻1号

2010年02月発行

文献概要

特集 脳科学のモデル実験動物

言語起源研究のためのモデル動物:ジュウシマツ

著者: 西川淳1 高橋美樹1 加藤真樹1 岡ノ谷一夫1

所属機関: 1理化学研究所 脳科学総合研究センター 生物言語研究チーム

ページ範囲:P.30 - P.40

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 言語はいかにして生じたのであろうか。言語起源の謎を解くための一つの方法は,われわれヒトの脳において言語を実現している神経メカニズムを明らかにし,それを系統発生的に近いチンパンジーやサルなどと比較することで言語進化の道筋を考察することである。言語を持つわれわれヒトを被験者とするなら,倫理的な問題からfMRIに代表される脳機能イメージング技術に頼らざるを得ないが,こうした手法では脳の大まかな機能局在について知ることはできても,脳活動測定上の空間・時間分解能の限界から,微小脳領域における局所回路メカニズムや個々のニューロンや分子レベルについての知見を得ることはできない。しかし,もし言語を司る神経機構を部分的にでも持っている動物モデルがあれば,その動物を用いてニューロンの活動を直接捉える電気生理実験や様々な遺伝子の働きを追う分子生物学実験を行うことにより,より詳細な神経メカニズムを明らかにすることができるはずである。

 本稿ではその有力な候補として,複雑な時系列規則を持った発声を生成・学習できるジュウシマツ(Bengalese finch)という小鳥を用いた研究について紹介する。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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