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文献詳細

雑誌文献

生体の科学61巻2号

2010年04月発行

文献概要

特集 糖鎖のかかわる病気:発症機構,診断,治療に向けて

糖鎖と難聴

著者: 郷慎司1 吉川弥里2 井ノ口仁一1

所属機関: 1東北薬科大学 分子生体膜研究所 機能病態分子学教室 2福岡大学大学院 薬学研究科 臨床疾患薬理学教室

ページ範囲:P.135 - P.141

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 耳から入った音は,外耳から中耳・内耳を経て,聴神経を通り脳に伝えられる。この経路のどこかに障害が起こることで,音や声が聞こえにくく(聞こえなく)なる「難聴(hearing loss, deafness)」が引き起こされる。「難聴」と一口にいってもその原因は多数あり,症状も様々である。難聴には大きく分けて,音を伝える部分(外耳~中耳)の障害に起因する「伝音性難聴」と,音を感知し脳に伝える部分(内耳~神経)の障害に起因する「感音性難聴」,両難聴が合わさった「混合性難聴」の3種類がある(図1)。

 伝音性難聴は中耳炎や外耳道閉塞,鼓膜や耳小骨の損傷などによって引き起こされる。伝音性難聴の多くの場合においては薬物治療や外科治療が可能である。感音性難聴は難聴原因遺伝子の変異,加齢や薬物,ストレス,騒音など様々な要因によって引き起こされる。先天性の難聴は出生1000人あたりに1人の割合であり,もっとも頻度が高い先天性疾患の一つである。また,加齢性難聴は65歳以上の40%以上に生じるとされている。さらに,現代社会特有のストレスによる難聴や,携帯音楽プレイヤーなどの普及に伴う騒音性の難聴も増加してきており,各種難聴発症の分子機構・病態解明,治療法の開発は最重要課題の一つである。ここでは主に内耳に起因する難聴を中心に関して述べる。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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