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文献詳細

雑誌文献

生体の科学61巻2号

2010年04月発行

文献概要

特集 糖鎖のかかわる病気:発症機構,診断,治療に向けて

糖鎖と肝疾患

著者: 杉山真也1 田中靖人2

所属機関: 1名古屋市立大学大学院 医学研究科 細胞生化学 2名古屋市立大学大学院 医学研究科 ウイルス学・肝疾患センター

ページ範囲:P.154 - P.159

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 本邦ではウイルス性肝炎は国民病とも呼ばれており,B型肝炎,C型肝炎感染者はそれぞれ150万人,200万人程度であると推定されている。B型肝炎においては,成人での初感染では,急性化した後にウイルスが排除されることが大半であるが,一定の割合で肝炎の遷延化が起こる。C型肝炎では,そのほとんどが感染後慢性化することが知られており,治療によりウイルスの排除がされない限り,持続的な肝傷害が進んでいくと考えられている。慢性肝炎の診断・治療の過程において,肝炎ウイルスの持続感染により進行していく肝臓の線維化の程度を確定することは重要である。従来,この診断には肝臓の組織病理学的検査(生検:バイオプシー)が用いられ,実際に肝組織を観察することから,信頼度の高い検査系であるといえる。しかしながら,この肝生検は体外より肝臓に向けて針を差し込み,肝臓組織を直接採取する検査であるため侵襲性が高く,出血などのリスクもあり,身体的負担が大きい。加えて,検査に際しては1週間程度の入院を要するために,患者の社会生活上の負担を強いることにもなる(表1)。このようなことからも,肝線維化の進展度合いを簡便に,しかも正確に診断することは患者だけでなく,医療行為者の側にとっても望まれることである。

 本稿では,近年,われわれと多施設の共同研究により同定された血清中の糖鎖関連の肝線維化マーカーを中心に,糖鎖と肝疾患の関連について最近の知見を交えながら解説することとする。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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