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文献詳細

雑誌文献

生体の科学61巻2号

2010年04月発行

文献概要

特集 糖鎖のかかわる病気:発症機構,診断,治療に向けて

オリゴマンノース被覆リポソームによる抗原提示細胞およびT細胞の活性化とワクチンへの展開

著者: 小島直也1 石井麻莉子1

所属機関: 1東海大学 糖鎖科学研究所

ページ範囲:P.181 - P.187

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 健常生体では,病原性微生物などの「非自己」を認識した樹状細胞(DC)やマクロファージ(Mφ)などの抗原提示細胞(APC)が,獲得免疫応答である細胞性免疫応答と液性免疫応答を誘導するとともに様々なサイトカイン産生を通して自然免疫応答を活性化し,これら微生物の排除を適切に行っている。がんや感染症などの難治性疾患では,このような液性免疫応答と細胞性免疫応答のバランスが破綻することで病態が悪化すると考えられていることから,APCの細胞応答を人為的に制御し,適切な免疫応答を誘導することができれば疾患の予防や治療につながると考えられる。獲得免疫応答誘導にはAPCによる抗原の取り込みおよびAPCの活性化が必須であるが,これらの過程にパターン認識分子(pattern recognition molecule:PRR)が重要な役割を担っていることが過去15年の研究から明らかになってきた1)

 PRRは病原体でよく保存された特徴的な分子パターンを認識して病原体の侵入を感知する分子群であり,最もよく知られているPRRとしてToll-like receptor(TLR)ファミリーがある2,3)。TLRは微生物構成成分の分子パターンを認識し,自然免疫系を活性化させると同時に獲得免疫系を制御していることが明らかになっており,TLRを標的としたAPCの制御研究が活発に行われている4)。しかし,TLRは抗原の取り込みに関与しておらず,TLRを標的とした免疫誘導においては抗原送達の手段が別途必要である。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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