icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学61巻2号

2010年04月発行

文献概要

連載講座 老化を考える・2

細胞の老化と個体の老化

著者: 森谷純治1 南野徹1 小室一成1

所属機関: 1千葉大学大学院 医学研究院 循環病態医科学

ページ範囲:P.188 - P.193

文献購入ページに移動
 個体の老化はすべての生物種において認められるが,その形式は生物種により様々である。さらに同一の生物種間,例えばヒトにおいても,その寿命の長さの相違が明らかである。このような多様性の存在にもかかわらず,個体の老化の過程は無秩序に生じるものであると考えられてきた。それに対して最近の研究では,老化は秩序ある制御機構をもった生物学的な過程であることが明らかとなりつつある。

 通常,ヒト正常体細胞の分裂回数は有限であり,ある一定期間増殖後,細胞老化と呼ばれる分裂停止状態となる。細胞老化はその形態変化のみならず,様々な遺伝子発現や機能の変化を伴うことが知られている。その寿命は培養細胞のドナーの年齢に相関すること,また早老症候群患者より得られた細胞の寿命は有意に短いことが報告されていることなどから,細胞老化のヒトの個体老化に対する関与が示唆されてきた。この「細胞レベルの老化が個体老化の病態生理に関与する」といういわゆる細胞老化仮説が,最近われわれを含めたいくつかのグループによって分子レベルで検討されている1,2)。本稿では,細胞老化のうち特に血管細胞,脂肪細胞の老化に焦点を当てて細胞老化仮説を支持するエビデンスを紹介し,さらに抗老化治療の可能性について検証してみたい。

参考文献

100:15-26, 2007
5:637-648, 2008
105:1541-1544, 2002
108:2264-2269, 2003
29:889-894, 2009
21:3336-3342, 2001
24:546-550, 2004
99:1167-1180, 2006
13:748-753, 2001
114:953-960, 2006
277:942-946, 1997
299:1342-1346, 2003
23:212-220, 2004
55:1660-1665, 2006
98:532-539, 2006
102:607-614, 2008
15:1082-1087, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら