文献詳細
文献概要
連載講座 老化を考える・2
細胞の老化と個体の老化
著者: 森谷純治1 南野徹1 小室一成1
所属機関: 1千葉大学大学院 医学研究院 循環病態医科学
ページ範囲:P.188 - P.193
文献購入ページに移動通常,ヒト正常体細胞の分裂回数は有限であり,ある一定期間増殖後,細胞老化と呼ばれる分裂停止状態となる。細胞老化はその形態変化のみならず,様々な遺伝子発現や機能の変化を伴うことが知られている。その寿命は培養細胞のドナーの年齢に相関すること,また早老症候群患者より得られた細胞の寿命は有意に短いことが報告されていることなどから,細胞老化のヒトの個体老化に対する関与が示唆されてきた。この「細胞レベルの老化が個体老化の病態生理に関与する」といういわゆる細胞老化仮説が,最近われわれを含めたいくつかのグループによって分子レベルで検討されている1,2)。本稿では,細胞老化のうち特に血管細胞,脂肪細胞の老化に焦点を当てて細胞老化仮説を支持するエビデンスを紹介し,さらに抗老化治療の可能性について検証してみたい。
参考文献
掲載誌情報