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連載講座 老化を考える・2
文献概要
個体の老化はすべての生物種において認められるが,その形式は生物種により様々である。さらに同一の生物種間,例えばヒトにおいても,その寿命の長さの相違が明らかである。このような多様性の存在にもかかわらず,個体の老化の過程は無秩序に生じるものであると考えられてきた。それに対して最近の研究では,老化は秩序ある制御機構をもった生物学的な過程であることが明らかとなりつつある。
通常,ヒト正常体細胞の分裂回数は有限であり,ある一定期間増殖後,細胞老化と呼ばれる分裂停止状態となる。細胞老化はその形態変化のみならず,様々な遺伝子発現や機能の変化を伴うことが知られている。その寿命は培養細胞のドナーの年齢に相関すること,また早老症候群患者より得られた細胞の寿命は有意に短いことが報告されていることなどから,細胞老化のヒトの個体老化に対する関与が示唆されてきた。この「細胞レベルの老化が個体老化の病態生理に関与する」といういわゆる細胞老化仮説が,最近われわれを含めたいくつかのグループによって分子レベルで検討されている1,2)。本稿では,細胞老化のうち特に血管細胞,脂肪細胞の老化に焦点を当てて細胞老化仮説を支持するエビデンスを紹介し,さらに抗老化治療の可能性について検証してみたい。
通常,ヒト正常体細胞の分裂回数は有限であり,ある一定期間増殖後,細胞老化と呼ばれる分裂停止状態となる。細胞老化はその形態変化のみならず,様々な遺伝子発現や機能の変化を伴うことが知られている。その寿命は培養細胞のドナーの年齢に相関すること,また早老症候群患者より得られた細胞の寿命は有意に短いことが報告されていることなどから,細胞老化のヒトの個体老化に対する関与が示唆されてきた。この「細胞レベルの老化が個体老化の病態生理に関与する」といういわゆる細胞老化仮説が,最近われわれを含めたいくつかのグループによって分子レベルで検討されている1,2)。本稿では,細胞老化のうち特に血管細胞,脂肪細胞の老化に焦点を当てて細胞老化仮説を支持するエビデンスを紹介し,さらに抗老化治療の可能性について検証してみたい。
参考文献
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