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文献詳細

雑誌文献

生体の科学61巻3号

2010年06月発行

文献概要

解説

体温調節の中枢神経回路メカニズム

著者: 中村和弘1

所属機関: 1京都大学 生命科学系キャリアパス形成ユニット 中村グループ

ページ範囲:P.276 - P.285

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 ヒトを含めた恒温動物において,生体の温熱恒常性(thermal homeostasis)を保つことは,その生命の維持において必要不可欠である。特に,目まぐるしい環境の温度変化からの影響を可能な限り防ぎ,体深部の温度を一定に保つ体温調節システムは,温熱恒常性維持機能の根幹に位置する。また,感染時に普遍的に観察される体深部温の上昇,発熱(fever)は,体温調節システムを駆使して病原体と戦う生体防御反応である。臨床的にも,体温調節システムの失調はすぐさま患者の生命の危機に直結し,また全身麻酔を伴う手術では患者の体温管理が常に重要な課題の一つである。そういった観点から,体温調節のメカニズムに関する研究は日本のみならず,世界的に盛んに行われてきた。

 体温調節反応は大きく,自律性体温調節反応と行動性体温調節反応に分けられる。自律性体温調節反応は,ふるえ(shivering)熱産生,非ふるえ熱産生,皮膚血管収縮,発汗など,無意識下に生じる生理反応であり,行動性体温調節反応は,体温維持に都合のよい温度環境を探索して移動する,衣服の脱着を介して体温を調節する,冷暖房のスイッチを入れるなどといった意識的な体温調節行動を指す。そして,これらの体温調節反応はすべて,脳神経系を介したシステムが司っている。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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