icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学61巻4号

2010年08月発行

文献概要

特集 miRNA研究の最近の進歩

ヒト細胞におけるmiRNA経路と代謝

著者: 平野孝昌1 塩見美喜子1

所属機関: 1慶應義塾大学 医学部 分子生物学教室

ページ範囲:P.302 - P.307

文献購入ページに移動
 1993年,線虫において初めてmicroRNA(mi RNA)が発見された。その後,miRNA研究は次第に進み,例えば,miRNAは線虫に限られた抑制分子ではなく,植物や動物,さらにはある種の単細胞やウイルスまでもmiRNAを発現し,そのmiRNAが標的mRNAの発現(翻訳抑制および安定化)を制御する機能を有することがわかってきた1)。近年の次世代シーケンサーなどによる解析から,様々な生物種で数多くのmiRNA種が同定され,現在データベースには,マウスで590種,ヒトでは940種類のmiRNAが登録されている(miRBase ver. 15)。miRNAは21-23塩基長という特徴をもつが,これらmiRNAは全てArgonauteタンパク質と結合することによってmiRISC複合体(miRNA-induced silencing complex)を形成する2)。続いてmiRISCは,miRNAの配列依存的に標的mRNAに結合し,一般にそのmRNAの発現を阻害する3)。1種類のmiRNAを細胞に導入することにより,細胞内プロテオームは大きく変化するため,miRNAは複数種の遺伝子を標的とすると考えられる4)。miRNAの機能としてはこれまで,細胞周期制御やアポトーシス,細胞運命決定,さらにはがん化促進あるいはがん抑制が知られている5)。また,miRNAの生合成過程は,様々な因子によって複雑に制御されていることも近年明らかとなってきた。本稿では,miRNAの生合成および遺伝子抑制機構,またmiRNA生合成制御と分解過程に関して解説する。

参考文献

23:175-205, 2007
38:323-332, 2010
457:396-404, 2009
455:64-71, 2008
136:586-591, 2009
10:126-139, 2009
15:902-909, 2008
130:89-100, 2007
448:83-86, 2007
326:1275-1279, 2010
29:1830-1839, 2010
457:405-412, 2009
465:584-589, 2010
:Advanced online, 2010
120:15-20, 2005
136:215-233, 2009
115:787-798, 2003
460:479-486, 2009
141:129-141, 2010
24:684-690,2009
11:379-384, 2010
320:97-100, 2008
10:987-993, 2008
138:696-708, 2009
14:591-596, 2007
459:1010-1014, 2009
11:1411-1420, 2009
321:1490-1492, 2008
461:546-549, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら