icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学61巻4号

2010年08月発行

特集 miRNA研究の最近の進歩

RNA干渉を利用した創薬の現状

著者: 篠原史一1 吉田哲郎2

所属機関: 1協和発酵キリン株式会社 探索研究所 2協和発酵キリン株式会社 次世代創薬研究所

ページ範囲:P.343 - P.348

文献概要

 RNA干渉(RNAi)は,標的mRNAを特異的に切断可能な転写後遺伝子サイレンシング機構であり,RNAウイルス感染防御を目的とした,真核生物の生体防御機構の一つである。このRNA干渉は,1990年代初めに植物(ペチュニア)で確認され,1998年には動物である線虫でも存在することをMelloとFireが報告し,この発見により二人はノーベル医学生理学賞を2006年に受賞している。RNAiは発見からわずか10年あまりの間に広く浸透し,今や遺伝子機能を解明する上で必須のリサーチツールとなっている。その上,低分子や抗体と比較して効率よく低コストに医薬品開発が可能なポテンシャルを秘めていること,また治療薬開発が難しいとされる転写因子やアダプタータンパク質といったいわゆるアンドラッガブルな遺伝子をも標的とし得ることから,新しい創薬技術基盤としても注目され,すでにいくつかのsiRNA医薬が臨床試験入りしている。一方で,まだsiRNAを医薬品とするためにはデリバリーや免疫刺激性といった解決すべき課題が残っている。本稿では,その課題解決に向けた取り組みにも触れながら「RNA干渉を利用した創薬の現状」を概説する。

参考文献

11:675-682, 2004
8:129-138, 2009
441:111-114, 2006
28:172-176, 2010
17:117-124, 2006
32:e48, 2006
432:173-178, 2004
25:1149-1157, 2007
448:39-43, 2007
27:839-846, 2009
254:10180-10183, 1979
411:494-498, 2001
14:463-470, 2006
11:263-270, 2005
36:3256-3267, 2006
14:1256-1263, 2008
31:25-34, 2009
12:988-993, 2006
19:111-124, 2008
13:494-505, 2006
15:1663-1669, 2007
320:379-381, 2008
31:2705-2716, 2003
452:591-597, 2008
25)吉田哲郎:実験医学 28:1643-1649,2010
35:3287-3296, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら