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文献詳細

雑誌文献

生体の科学61巻5号

2010年10月発行

特集 シナプスをめぐるシグナリング

1.受容体

シナプス形成におけるLRP4シグナリングの関与

著者: 棚橋浩1 鈴木龍雄1

所属機関: 1信州大学大学院 医学系研究科 加齢適応医科学系独立専攻 神経可塑性学分野

ページ範囲:P.392 - P.393

文献概要

LRP4の分子特性

 最初に,本稿で扱うLow density lipoprotein receptor-related protein 4(LRP4)は,Tomitaらが報告している同名の分子(現在の公称はcorin)とは異なる分子である。LRP4はLDL-receptorファミリーのメンバーの一つで,その完全長cDNAのクローニングと特性についての最初の報告は筆者らによってなされた1)。マウス,ラット,ヒトLRP4は1905アミノ酸からなる,type Ⅰ-1回膜貫通タンパク質である。細胞外領域にリガンド結合部位,C端側の細胞質領域にエンドサイトーシスに関わるコート小胞への集積シグナル(NPXYモチーフ),C末端にPDZドメイン結合配列(ESQV)を持つ。LRP4はこの配列を介してPSD-95,SAP97と結合し,シナプス後肥厚部(PSD)に局在している1)。カルモジュリンキナーゼⅡ(CaMKⅡ)により細胞質領域のSer1887,Ser1900がリン酸化され,後者のリン酸化によりPSD-95,SAP97との結合が阻害される1)。これらのことは,神経活動によってPSDのLRP4複合体相互作用が制御される可能性を示唆している。これまでに6種のリガンド,apoE2),F-spondin3),agrin4,5),Wise(表*1),Dickkopf1(表*1),Sclerostin(表*1)が同定されている。脳のLRP4はコレステロールの取り込み以外にも複数の機能に関係していると考えられる。

参考文献

23:2864-2876, 2006
1177:19-28, 2007
178:1237-1249, 2007
135:334-342, 2008
60:285-297, 2008
137:1017-1033, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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