icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学61巻5号

2010年10月発行

特集 シナプスをめぐるシグナリング

1.受容体

セロトニン2C受容体(HTR2C)

著者: 文東美紀1 岩本和也1 加藤忠史2

所属機関: 1東京大学大学院 医学系研究科 分子精神医学講座 2理化学研究所 脳科学総合研究センター 精神疾患動態研究チーム

ページ範囲:P.394 - P.396

文献概要

 セロトニン(5-hydroxytryptamine;5-HT)はトリプトファンから合成されるモノアミン神経伝達物質であり,生体内では主に胃腸管や血小板に存在し,脳組織内には約1%程度存在している。セロトニン受容体は14種類報告されているが,セロトニン2C受容体(HTR2C)はHTR2ファミリーに分類されている。HTR2ファミリーは,イノシトール三リン酸(IP3)とジアシルグリセロール(DG)をセカンドメッセンジャーとする,Gqタンパク質共役型の7回膜貫通型受容体である(図)。HTR2Cは中枢神経系にほぼ限局して発現しており,特に脈絡叢,線条体などに多く分布している。神経細胞内では主にシナプス後膜に局在しているが,いくつかの脳部位ではシナプス前膜にも局在が報告されている。受容体にセロトニンが結合すると,小胞体からのカルシウムイオンの遊離,プロテインキナーゼCの活性化を引き起こし,神経の脱分極や神経興奮,血管収縮が起きる。これらは様々な生理作用と結びつき,不安やうつなどの精神機能や睡眠障害,自発運動などに関与する。

参考文献

311:230-232, 2006(HBII-52)
18:2140-2148, 2009(Mbii-52)
137:1235-1246, 2009(15q11-13 mouse)
6:248-253, 2009(mental disorder)
374:542-546, 1995(HTR2C KO mouse)
30:299-306, 2009(HTR2C overexpression mouse)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら