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文献詳細

雑誌文献

生体の科学61巻5号

2010年10月発行

特集 シナプスをめぐるシグナリング

2.トランスポーター

ドパミントランスポーター

著者: 名取司保子1 服部信孝1

所属機関: 1順天堂大学 医学部 脳神経内科

ページ範囲:P.402 - P.403

文献概要

ドパミントランスポーター(DAT)について

 細胞外ドパミンの制御に関連する機構としては,主にドパミン受容体と神経伝達物質の再取り込みを行う機能性蛋白質であるドパミントランスポーター(DAT),シナプス小胞モノアミントランスポーター(VMAT)がある。ドパミン受容体には5種類のサブタイプがあり,VMATは他のすべてのモノアミンを基質としているのに対し,DATのサブタイプはドパミンに対しての1種類のみである。そのため重要な役割を有する。

 DATはドパミン神経にのみ存在する。特に黒質から線条体を含む大脳基底核に投射するDA神経線維にはDATが多数存在する。その一方,前頭前野皮質では腹側被蓋野に由来するドパミン神経終末には発現が極めて少なく,シナプス外に存在する。また,DATはコカイン,メチルフェニデートなどの覚醒剤の標的分子,あるいはMPP+,6-OHDAなどの神経毒の進入経路とされるほか,パーキンソン病の発症に関わりのある蛋白であるα-シヌクレインがDATを調節しているという報告もある。パーキンソン病の病理学的マーカーであるレビー小体においても,脳幹型ではDATのimmunoreactivitiesを認め,皮質型では認めないとされている。加えて,DAT欠損マウスはADHDのモデルマウスとしての性質を持つこともわかっており,DATは臨床,研究の面で実に様々な意義を担っている。

参考文献

162:870-880, 2009(DAT KO mice, cocaine)
2)曽良一郎ら:日薬理誌 128:8-12,2006(ADHD)
565:1-5, 2004(α-synuclein, Parkinson's disease)
32:217-227, 2007(parkin)
189:180-185, 2010(motor skill learning, Nomifensine)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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